熊野屋製菓の味の秘密をここで公開したいと思います。

僭越ながら少しでも、製菓業界の技術向上に役立つことを願って・・・・・。
ここの内容は、故小林京都石田老舗前社長の協力を得て書いています。謹んで、故小林寛次氏のご冥福をお祈り申し上げます。
 焼き菓子に限らず、すべての菓子において、かつては神さまにお供えするという目的がありましたので、最上級のものを作るのが常識でありました。最上級の(今風に言えば至高の)菓子とは、一言でいうとのど越しの良さであります。のど越しとは、まるで、生ビールの宣伝文句みたいですが、本来、のどは第二の味覚をもっているのであります。こののど越しの、味覚と食感を満足させると人は、無上の幸せを感じることができるのであります。
 では、菓子というおかきやあられやケーキやチョコレートや飴やゼリーやまんじゅうやクッキーや煎餅におけるのど越しの良さとは何かといいますと口ほどけにつきるのです。
  口に入れた瞬間に、ポロポロと溶け出し、一切の後味を残さないくらい味のキレがよくお茶なしで食べることのできるお菓子です。
  よく、お茶菓子といいますが、本来のお茶菓子の意味は、効き茶(ききちゃ)といってお茶を飲んでその銘柄を当てるときに、お茶とお茶の間にお茶菓子で、前のお茶の味を流し捨て、なおかつ、次のお茶の味のじゃまをしないように、口ほどけが良く、後味が残らないものであったのです。
 この目標に到達したおせんべいが熊野屋のおせんべいでありますが、味の秘密でもあります。老い先短くなった今、ここに、熊野屋の味の秘密を公開したいと思います。
                   目次
1,小麦粉総論

1,主原料である小麦粉の特性について

8,松谷化学のでんぷん研究

12,製菓材料の機能

13,小麦粉と他の原材料との相関関係


14,製菓材料の機能的考察

15,小麦粉の調理上の特徴



2,甘味料総論


2,砂糖全般についての考察


3,ビートグラニュー糖研究

4,果糖と蜂蜜


5,でんぷん糖

6.フォンダン

7,砂糖の調理性

3,たまごの研究

16,玉子の特性

17,玉子の調理の実際


4,実践編

1,クッキー

おまけ、

水だねと呼ばれる生地の場合、その表面張力が、焼き上がりに影響します。表面張力のはかり方は、自分の基準で決めた直径のコップに生地を入れ、ギリギリまで盛って、その盛り上がり具合によって比較すればよいです。

 和三盆(わさんぼん)入手困難のときの対応。

   ふつうの黒糖と上白を1対1でケーキ用縦型ミキサーでまぜるとほぼ和三になる。
  そのときの黒糖の味によっては1対2でまぜるとよい。