クッキーについての考察

 クッキーは釜で焼くので、煎餅とは違い、別の視点が必要であるが、基本的な生地組成は同じです。

 クッキーは煎餅と違い、焼き上がりによって、その正誤がはっきりわかるので、ある意味対策がとりやすい。

 電気釜、、トンネルがま、レベント窯にかかわらず、焼成中の生地の変化をよく観察することが必要である。

 焼成中の生地の変化について

 1,もし、焼成中の生地がくぼみ出したら、・・・・・

   それは小麦粉の選定の失敗です
      小麦粉のグルテンの性質が、現在のミキサーにあっていないのでグルテンが弱く釜落ちしているのです。対策としては。
      イ 薄力粉と中力粉と5%ぐらいの中華麺用粉との配合を工夫してみる
      ロ 加水量が多いので、玉子を減らす、油脂を減らす、もし、水を入れているのであれば水をなくす。
      ハ、ベーキングパウダーに頼りすぎている可能性があるので、膨張剤をへらし、玉子の白身の温度を下げて使い、なおかつ、レモン汁、お酢、等の酸性剤を少し入れる。



 2,もし、予想より大きく拡がってしまったら・・・・・

     イ、まずは、生地が柔らかさが問題です、近年自動化が進みデポジにあわすために難しさがあります。もし、どうしても硬く出来ない時は、松谷化学のマツノリンもしくはスタビローズを入れます。生地のさくさが出てデポジ特性が良くなります。
     ロ、配合中の砂糖の量が多すぎる可能性があります。
     ハ、スプレットシートが生地の特性と合っていない可能性があります。試しに、新聞紙をしいて焼いて見て下さい。
     ニ、初期釜突入温度が高すぎるか低すぎるかの可能性があります。温調器を調整してください。

 3,もし、予想より小さくなったら・・・・・・。

     イ これも基本的には小麦粉の選定の失敗を疑うべきですが、それ以外には、ミキサーの周速が速すぎか、もしくは、不用意に長時間ミキシングしすぎたかです
     ロ、 加水量が少なすぎる、玉子を増やすか、油脂を増やすか、水を加水する
     ハ、 小麦粉のグルテンと玉子がグラニュー糖にうまく絡んでいない場合に起こるので、混練時にすべてのグラニュー糖とショートニングを先に混ぜてしまった可能性があります。
     ニ、グラニュー糖に関してですが、あまり細かい結晶のグラニュー糖(純度の高いものを要求すると製薬用の細かい結晶のものが来る場合があるふつうのグラニュー糖や粉糖には、固まるのを防止するためにデンプンが入っている)や粉糖(スリ蜜を作る時につかうもの)
     ホ、以上のことが思い当たらない時は、膨張剤でも、アンモニア系の重炭酸アンモニウムや炭酸アンモニウムを加えると改善するが、表面に起泡や亀裂が生じやすい、この場合でも、(株)赤田善製のイスハタを用いるとクラックが入りにくい。

     二、それでもダメな場合は、松谷化学のマツノリンを1%程度入れるとよいが、地味がわるいなりやすいので、できるだけ、これよりも減らして、効果がでる範囲にとどめるのがよい。

 4,スプレッドシートを用いずに、天板に製品が張り付く場合・・・・・・。
    
    イ、最近はスプレッドシートが普及したので、あまり問題はないのですが、生地の不具合を見るためにわざと天板に直接おいて焼成する場合、グルテン質が弱いとひっつきます
    ロ、生地が柔らかすぎる場合も天板上に拡がるのでひっつきます。
    ハ、上記に関連することですが、グラニュー糖の配合比率が多い場合もひっつきます。あるいは玉子が少ない場合にひっつきます。
    ニ、当然のことですが、天板の掃除及び油の焼き付けの失敗の場合にも起こります。

 5,製品が硬くなる場合、
   
   イ,グルテンがうまく分散していないので、マーガリン、ショートニング等の油脂を増やしてやると良い。
   ロ、グルテンがへたっているので、ミキサーの周速が速すぎる、もしくは混練のしすぎ

   ハ、グルテンが分散していないので、強力粉中力粉の比率が多すぎる。

   ニ、グラニュー糖の配合比率が少なすぎる。