塩及びリポキシナーゼと生地

 

1、              味と風味の改善

2、              醗酵速度の抑制

3、              生地の安定(丸め時に取り扱いやすくなる)

4、              生地を硬くし粘着性を減少させる

5、              2パーセントの添加で水和(粘度が最大になる時)への時間が長くなる

6、              給水率が減る⇒2パーセントで加水率61パーセントが58パーセントへ

 

大豆の酵素であるリポキシナーゼと生地

 

1、              生地に少量のナマの大豆粉を混ぜると酸化剤とおなじ効果が得られる

2、              生地の漂白

3、              ミキシングの安定性

4、              リポキシナーゼとはリノール酸等の不飽和脂肪酸に空気中の酸素を結びつけて脂肪酸のヒドロペルオキシドを生成する酵素である

5、              このヒドロペルオキシドが生地中のSH基を酸化することによって安定性が増す

 

オーバーミキシングとリポキシナーゼ

 

1、              ヨウ素酸カリウムやフマール酸を添加するとブレークダウンを促進する

2、              ナマの大豆粉を1パーセント添加するとブレークダウンを抑制する

 

ミキシングによるグルテンの水溶性の増加

 

1、              水と小麦蛋白が反応してグルテンが溶け出す

2、              溶け出す原因は小麦蛋白の低分子化である

3、              ミキシングの機械的圧力によってたんぱく質が乖離しグルテンのSS結合が切断されることによる

 

 

ブレークダウンの解明

 

1、              たんぱく質分子の並び方

    

 網の目状に並んだグルテンがオーバーミキシングによって横並びしてダウンした。

 

2、              SS結合の切断による網の目構造の変化

    

 グルテニンのSS結合がSH―SS交換反応、加水分解、機械的せん断圧力によって分子がちいさくなりたんぱく質間の相互SS結合が小さくなることによってダウンした。

 

3、              たんぱく質の構造変化による総合的要因

    

 グルテニンのSS結合がせん断圧力によって千切れ生じたS(チニールラジカル)

     にフマール酸やフェルラ酸が結合し蛋白質表面の電荷を変化させたりその構造自体変化させた

     結果ダウンが生じる。

 

4、              たんぱく質の水和力(水分保持力)の変化とパン生地中の遊離水の増加

 

   フェルラ酸を添加してミキシングするとすぐにダウンするが、さらに5パーセントの塩を添加すると元に戻る。

    このことから蛋白質の分子の周囲にある水の分量がダウンに関係していると考えられる。

    強度のミキシングによってSS結合の一部が破壊されグルテン内部に水和として取り込まれていた水分が表面に出てきて結果、生地に大量の水を加えた状態になりダウンした。塩を添加するとたんぱく質の立体構造が変化し再び内部に水和として水が取り込まれるのでダウンから回復する。

 

5、              ブレークダウンはいつ起こるか?

     

      塊となって形成される反応とミキシング初期からおこるダウン反応は同時に観測さるるので、初期から起こると考えられる。